一問一答で学ぶ自然言語処理【基礎編】

要約
自然言語処理の基礎的な概念を一問一答で勉強していこうという旨の記事です。
自然言語処理は、コンピュータが人間の言語を理解し、処理するための技術です。テキストの前処理、特徴量抽出、各種タスクの基礎について、一問一答形式で学んでいきます。
解答部分はMarkdownで折りたたみを使うことでクリックしないと見れないようにしています。
※AIによる生成が含まれますが、内容はE資格を保有し、Kaggle Expertの筆者が確認済みです。
目次
はじめに
この記事は、自然言語処理の基礎的な概念について一問一答形式で学ぶ記事です。
自然言語処理は、コンピュータが人間の言語(テキストや音声)を理解し、処理するための技術分野です。テキスト分類、感情分析、機械翻訳、質問応答など、様々な応用があります。
この記事では、自然言語処理の基礎となる概念や手法について、一問一答形式で学んでいきます。トークン化、形態素解析、特徴量抽出、単語埋め込み、各種タスクの基礎など、自然言語処理を理解する上で重要な知識を身につけましょう。
解答部分は折りたたみ形式にしているので、まずは自分で考えてからクリックして確認してください。
※AIによる生成が含まれますが、内容はE資格を保有し、Kaggle Expertの筆者が確認済みです。
一問一答
Q1. 自然言語処理(NLP)とは何ですか?主な応用分野を説明してください。
解答を見る
自然言語処理(Natural Language Processing, NLP)は、コンピュータが人間の言語を理解し、処理するための技術分野です。
主な応用分野:
テキスト分類
- スパムメール判定、ニュース記事のカテゴリ分類、感情分析など
機械翻訳
- Google翻訳、DeepLなど、言語間の自動翻訳
質問応答システム
- チャットボット、検索エンジン、FAQシステムなど
テキスト要約
- 長文を要約、ニュース記事の要約など
情報抽出
- 固有表現認識(人名、地名、組織名など)、関係抽出
音声認識・音声合成
- 音声をテキストに変換、テキストを音声に変換
文書生成
- 記事の自動生成、対話システムなど
自然言語処理の課題:
- 多義性:同じ単語が文脈によって異なる意味を持つ
- 文脈依存性:文脈を理解する必要がある
- 言語の多様性:言語ごとに異なる特徴がある
- 非構造化データ:テキストは構造化されていない
Q2. トークン化(Tokenization)とは何ですか?日本語と英語での違いを説明してください。
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トークン化は、テキストを小さな単位(トークン)に分割する処理です。
英語のトークン化:
- 単語単位:スペースや句読点で分割
- 例:「I love NLP.」→ ["I", "love", "NLP", "."]
- サブワード単位:BPE(Byte Pair Encoding)、WordPieceなど
- 未知語に対応、語彙サイズを制御
日本語のトークン化:
- 形態素解析:単語の境界が明確でないため、形態素解析が必要
- 例:「私は自然言語処理を学びます」→ ["私", "は", "自然言語処理", "を", "学び", "ます"]
- 分かち書き:単語間にスペースを挿入
- 文字単位:文字ごとに分割(文字ベースのモデル)
トークン化の重要性:
- テキストを機械学習モデルが処理できる形式に変換
- トークン化の方法がモデルの性能に影響
- 言語ごとに適切な方法を選択する必要がある
Q3. 形態素解析とは何ですか?主なツールを説明してください。
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形態素解析は、テキストを形態素(意味を持つ最小単位)に分割し、品詞などの情報を付与する処理です。
形態素解析の処理:
- 分かち書き:テキストを単語に分割
- 品詞タグ付け:各単語の品詞を判定
- 原形復元:活用形を原形に変換
例:
- 入力:「私は本を読みます」
- 出力:
- 私(名詞)
- は(助詞)
- 本(名詞)
- を(助詞)
- 読み(動詞)
- ます(助動詞)
主なツール:
MeCab
- 高速、高精度
- 辞書:IPA辞書、mecab-ipadic-NEologd(新語対応)
Janome
- 純Python実装、インストールが簡単
- 辞書が内蔵されている
GiNZA
- spaCyベースの日本語処理ライブラリ
- 形態素解析と構文解析を統合
Sudachi
- 複数の分割単位を提供
- 企業向けの商用版もあり
用途:
- テキストの前処理
- キーワード抽出
- 検索エンジン
- テキストマイニング
Q4. N-gramとは何ですか?ユニグラム、ビグラム、トリグラムの違いを説明してください。
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N-gramは、テキストから連続するN個のトークン(単語や文字)を抽出する手法です。
種類:
ユニグラム(1-gram)
- 1つのトークン
- 例:「自然言語処理」→ ["自然", "言語", "処理"]
ビグラム(2-gram)
- 連続する2つのトークン
- 例:「自然言語処理」→ ["自然 言語", "言語 処理"]
トリグラム(3-gram)
- 連続する3つのトークン
- 例:「自然言語処理」→ ["自然 言語 処理"]
文字N-gramと単語N-gram:
- 文字N-gram:文字単位で分割
- 例:「自然」の2-gram → ["自然", "然言"]
- 単語N-gram:単語単位で分割
- 例:「私は学生です」の2-gram → ["私 は", "は 学生", "学生 です"]
用途:
- 言語モデル:次の単語を予測
- 特徴量抽出:テキストの特徴を表現
- 検索エンジン:検索クエリの拡張
- スペルチェック:誤字の検出
メリット・デメリット:
- メリット:シンプル、実装が容易、文脈を考慮
- デメリット:Nが大きいと組み合わせ数が爆発的に増加、スパース性の問題
Q5. バギング・オブ・ワード(BoW)とは何ですか?メリット・デメリットを説明してください。
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バギング・オブ・ワード(Bag of Words, BoW)は、テキストを単語の出現頻度のベクトルで表現する手法です。
仕組み:
- 語彙の作成:全テキストからユニークな単語を抽出
- ベクトル化:各テキストを、各単語の出現回数でベクトル化
- 例:
- 文書1:「私は学生です」
- 文書2:「学生は勉強します」
- 語彙:["私", "は", "学生", "です", "勉強", "します"]
- 文書1:[1, 1, 1, 1, 0, 0]
- 文書2:[0, 1, 1, 0, 1, 1]
特徴:
- 順序を無視:「学生は私」と「私は学生」は同じベクトルになる
- 出現頻度のみ:単語の位置や順序は考慮しない
メリット:
- シンプルで実装が容易
- 計算コストが低い
- テキスト分類などで有効
デメリット:
- 単語の順序を考慮しない
- 文脈を考慮しない
- 語彙サイズが大きくなると次元が増加
- スパースなベクトル(多くの要素が0)
改善手法:
- TF-IDF:重要度を考慮
- N-gram:順序の一部を考慮
- 単語埋め込み:意味を考慮
Q6. TF-IDFとは何ですか?計算式と用途を説明してください。
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TF-IDF(Term Frequency-Inverse Document Frequency)は、単語の重要度を表す指標です。
計算式:
- TF(Term Frequency):文書内での単語の出現頻度
- TF(t, d) = (単語tの文書d内での出現回数) / (文書d内の全単語数)
- IDF(Inverse Document Frequency):文書集合内での単語の希少性
- IDF(t) = log(全文書数 / 単語tを含む文書数)
- TF-IDF:TF × IDF
- TF-IDF(t, d) = TF(t, d) × IDF(t)
意味:
- TFが高い:その文書で頻繁に出現
- IDFが高い:他の文書では出現しにくい(特徴的)
- TF-IDFが高い:その文書に特徴的な単語
例:
- 「の」「は」などの助詞:多くの文書に出現 → IDFが低い → TF-IDFが低い
- 専門用語:特定の文書にのみ出現 → IDFが高い → TF-IDFが高い
用途:
- テキスト分類:特徴量として使用
- 情報検索:検索クエリと文書の類似度計算
- キーワード抽出:重要な単語を抽出
- テキスト要約:重要な文を抽出
メリット・デメリット:
- メリット:重要度を考慮、実装が容易
- デメリット:文脈を考慮しない、単語の順序を考慮しない
Q7. 単語埋め込み(Word Embedding)とは何ですか?なぜ重要ですか?
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単語埋め込みは、単語を低次元の実数ベクトルで表現する手法です。
特徴:
- 密なベクトル:BoWのようなスパースベクトルではなく、密なベクトル
- 意味の表現:意味的に近い単語は、ベクトル空間で近くに配置される
- 固定次元:全ての単語を同じ次元(例:100次元、300次元)で表現
なぜ重要か:
意味の表現
- 「王様」-「男性」+「女性」≈「女王様」
- 意味的な関係をベクトル演算で表現
次元削減
- 語彙数が数万でも、100-300次元で表現
- 計算効率が向上
機械学習モデルへの入力
- ニューラルネットワークなどで使用
- 意味を考慮した特徴量
主な手法:
- Word2Vec:Skip-gram、CBOW
- GloVe:グローバルな共起情報を利用
- FastText:サブワードを考慮
例:
- 「猫」と「犬」は近いベクトル
- 「猫」と「車」は遠いベクトル
- 「走る」と「歩く」は近いベクトル
Q8. Word2Vecとは何ですか?Skip-gramとCBOWの違いを説明してください。
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Word2Vecは、単語を密なベクトルで表現する手法で、Skip-gramとCBOWの2つのアーキテクチャがあります。
基本的な考え方:
- 「似た文脈で使われる単語は、意味も似ている」という仮定
- 文脈から単語を予測するタスクを解くことで、単語の意味を学習
Skip-gram:
- 入力:中心単語
- 出力:周辺単語(文脈)
- 例:「私は自然言語処理を学びます」
- 中心単語:「自然言語処理」
- 周辺単語:「私」「は」「を」「学びます」
- メリット:低頻度語でも良い表現を学習
- デメリット:計算コストが高い
CBOW(Continuous Bag of Words):
- 入力:周辺単語(文脈)
- 出力:中心単語
- 例:「私は自然言語処理を学びます」
- 入力:「私」「は」「を」「学びます」
- 出力:「自然言語処理」
- メリット:計算コストが低い、高頻度語で良い性能
- デメリット:低頻度語の表現が弱い
比較:
| 項目 | Skip-gram | CBOW |
|---|---|---|
| 入力 | 中心単語 | 周辺単語 |
| 出力 | 周辺単語 | 中心単語 |
| 計算コスト | 高い | 低い |
| 低頻度語 | 強い | 弱い |
用途:
- テキスト分類の特徴量
- 意味的類似度の計算
- アナロジー(類推)の検出
Q9. ストップワードとは何ですか?なぜ除去する必要がありますか?
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ストップワードは、テキスト処理において除去すべき一般的な単語です。
ストップワードの例:
- 英語:the, a, an, is, are, was, were, be, been, have, has, had, do, does, did, will, would, should, could, may, might, must, can, this, that, these, those, I, you, he, she, it, we, they, and, or, but, if, because, etc.
- 日本語:は、が、を、に、へ、と、から、より、で、の、など、など、の、こと、もの、ため、とき、ところ、など
除去する理由:
情報量が少ない
- 多くの文書に出現し、文書の特徴を表さない
- TF-IDFが低くなる
ノイズになる
- テキスト分類などで、ノイズとして機能
- モデルの性能を低下させる可能性
計算コストの削減
- 語彙サイズを減らす
- 処理速度の向上
注意点:
- タスク依存:タスクによっては重要(例:感情分析で「not」は重要)
- 言語依存:言語ごとに異なる
- 過度な除去:必要な情報を失う可能性
実装:
- NLTK、spaCyなどのライブラリに標準で含まれる
- カスタムストップワードリストを作成可能
Q10. ステミング(Stemming)とレンマ化(Lemmatization)の違いを説明してください。
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ステミングとレンマ化は、単語を原形に変換する処理ですが、方法が異なります。
ステミング(Stemming):
- 方法:語尾を機械的に削除
- 例:
- "running" → "run"
- "happily" → "happi"(語幹のみ、意味のある単語にならない場合もある)
- 特徴:
- 高速
- 辞書不要
- 意味のない語幹になる場合がある
- アルゴリズム:Porter Stemmer、Snowball Stemmer
レンマ化(Lemmatization):
- 方法:辞書と形態素解析を使用して、語形変化前の原形(見出し語)に変換
- 例:
- "running" → "run"
- "happily" → "happy"(正しい原形)
- "better" → "good"(比較級から原級へ)
- 特徴:
- 正確
- 辞書が必要
- 計算コストが高い
- 実装:WordNet、spaCyなど
比較:
| 項目 | ステミング | レンマ化 |
|---|---|---|
| 精度 | 低い | 高い |
| 速度 | 速い | 遅い |
| 辞書 | 不要 | 必要 |
| 出力 | 語幹(意味のない場合も) | 見出し語(意味のある単語) |
使い分け:
- ステミング:高速処理が必要、大規模データ
- レンマ化:精度が重要、小規模データ
日本語の場合:
- 日本語は活用が複雑なため、形態素解析で原形を取得
- MeCab、Janomeなどで原形を取得可能
Q11. 品詞タグ付け(POS Tagging)とは何ですか?用途を説明してください。
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品詞タグ付け(Part-of-Speech Tagging)は、各単語に品詞情報を付与する処理です。
品詞の例:
- 英語:名詞(Noun)、動詞(Verb)、形容詞(Adjective)、副詞(Adverb)、前置詞(Preposition)、代名詞(Pronoun)、接続詞(Conjunction)、限定詞(Determiner)など
- 日本語:名詞、動詞、形容詞、副詞、助詞、助動詞、連体詞、接続詞、感動詞など
例:
- 入力:「私は本を読みます」
- 出力:
- 私:名詞
- は:助詞
- 本:名詞
- を:助詞
- 読み:動詞
- ます:助動詞
用途:
テキストの前処理
- 名詞のみを抽出してキーワード抽出
- 動詞を抽出して動作を分析
構文解析の前処理
- 構文解析の精度向上
情報抽出
- 固有表現認識の精度向上
- 関係抽出
テキスト分類
- 品詞情報を特徴量として使用
機械翻訳
- 文の構造を理解
実装:
- 英語:NLTK、spaCy
- 日本語:MeCab、Janome、GiNZA
手法:
- ルールベース:辞書とルールを使用
- 統計的手法:HMM(Hidden Markov Model)、CRF(Conditional Random Fields)
- 深層学習:LSTM、Transformer
Q12. 固有表現認識(NER)とは何ですか?主なカテゴリを説明してください。
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固有表現認識(Named Entity Recognition, NER)は、テキストから固有表現(人名、地名、組織名など)を抽出する処理です。
主なカテゴリ:
人名(Person)
- 例:田中太郎、John Smith
地名(Location)
- 例:東京、New York、日本
組織名(Organization)
- 例:株式会社ABC、Google、東京大学
日付(Date)
- 例:2025年11月26日、2025-11-26
時刻(Time)
- 例:午後3時、15:00
金額(Money)
- 例:1000円、$100
パーセンテージ(Percent)
- 例:50%、50パーセント
例:
- 入力:「田中太郎は東京大学の学生です。2025年11月26日に東京で会議に参加しました。」
- 出力:
- 田中太郎:人名
- 東京大学:組織名
- 2025年11月26日:日付
- 東京:地名
用途:
- 情報抽出:文書から重要な情報を抽出
- 検索エンジン:エンティティベースの検索
- 質問応答システム:エンティティを理解
- 知識グラフの構築:エンティティ間の関係を抽出
実装:
- 英語:spaCy、NLTK、Stanford NER
- 日本語:GiNZA、spaCy(日本語モデル)、BERTベースのモデル
手法:
- ルールベース:辞書とパターンマッチング
- 統計的手法:CRF、HMM
- 深層学習:BiLSTM-CRF、BERT
Q13. 構文解析とは何ですか?依存関係解析と句構造解析の違いを説明してください。
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構文解析は、文の構文的な構造を解析する処理です。
依存関係解析(Dependency Parsing):
- 方法:単語間の依存関係を解析
- 出力:依存関係木(どの単語がどの単語に依存するか)
- 例:「私は本を読みます」
- 私 ← は(助詞)
- 本 ← を(助詞)
- 読み ← ます(助動詞)
- 読み ← 本(目的語)
- 読み ← 私(主語)
句構造解析(Constituency Parsing):
- 方法:文を句(句節)に分割し、階層構造を解析
- 出力:句構造木(文の階層構造)
- 例:「私は本を読みます」
- S(文)
- NP(名詞句):私
- VP(動詞句)
- NP(名詞句):本
- V(動詞):読みます
- S(文)
比較:
| 項目 | 依存関係解析 | 句構造解析 |
|---|---|---|
| 出力 | 依存関係 | 句構造 |
| 用途 | 関係抽出、情報抽出 | 文の構造理解 |
| 実装 | spaCy、GiNZA | NLTK、Stanford Parser |
用途:
- 情報抽出:主語・述語・目的語の抽出
- 関係抽出:エンティティ間の関係を抽出
- 機械翻訳:文の構造を理解
- 質問応答システム:質問の構造を理解
Q14. 言語モデルとは何ですか?統計的言語モデルとニューラル言語モデルの違いを説明してください。
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言語モデルは、単語列の確率を計算するモデルで、「次の単語を予測する」タスクに使用されます。
基本的な考え方:
- 文「私は学生です」の確率 P(私は学生です) を計算
- 次の単語を予測:P(次の単語 | これまでの単語)
統計的言語モデル:
- N-gram言語モデル:N個の単語の組み合わせの確率を計算
- 例(3-gram):
- P(学生|私は) = count(私は学生) / count(私は)
- メリット:シンプル、解釈しやすい
- デメリット:スパース性の問題、長い文脈を考慮できない
ニューラル言語モデル:
- RNN/LSTM:再帰的ニューラルネットワークで文脈を考慮
- Transformer:Attention機構で長い文脈を考慮
- GPT、BERT:大規模な事前学習モデル
- メリット:長い文脈を考慮、高い性能
- デメリット:計算コストが高い、解釈が難しい
用途:
- テキスト生成:次の単語を生成
- 機械翻訳:翻訳の品質向上
- 音声認識:音声からテキストへの変換
- スペルチェック:誤字の検出と修正
評価指標:
- パープレキシティ(Perplexity):言語モデルの性能を評価
- 低いほど良い(予測が正確)
Q15. テキスト分類とは何ですか?主な手法を説明してください。
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テキスト分類は、テキストを事前に定義されたカテゴリに分類するタスクです。
主な応用:
- スパムメール判定:スパム/正常
- 感情分析:ポジティブ/ネガティブ/ニュートラル
- トピック分類:ニュース記事のカテゴリ分類
- 意図分類:チャットボットでのユーザーの意図を分類
主な手法:
ルールベース
- キーワードマッチング、正規表現
- メリット:シンプル、解釈しやすい
- デメリット:精度が低い、保守が大変
機械学習手法
- Naive Bayes:単語の出現確率を使用
- SVM:TF-IDF特徴量を使用
- ランダムフォレスト:決定木のアンサンブル
- メリット:ルールベースより高精度
- デメリット:特徴量エンジニアリングが必要
深層学習手法
- CNN:テキストを1次元のシーケンスとして処理
- RNN/LSTM:文脈を考慮
- Transformer/BERT:事前学習モデルを使用
- メリット:高い性能、特徴量エンジニアリングが不要
- デメリット:計算コストが高い、データが必要
評価指標:
- Accuracy:正解率
- Precision、Recall、F1-Score:不均衡データの場合
- 混同行列:どのクラスをどのクラスと間違えやすいか
Q16. 感情分析とは何ですか?2クラス分類と多クラス分類の違いを説明してください。
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感情分析は、テキストから感情や意見を抽出・分類するタスクです。
主な応用:
- レビュー分析:商品レビューの評価
- SNS分析:ツイートや投稿の感情分析
- 顧客フィードバック:顧客の満足度分析
- ブランド監視:ブランドへの言及の感情分析
分類の種類:
2クラス分類
- ポジティブ/ネガティブ
- 例:レビューが良い/悪い
- メリット:シンプル、解釈しやすい
- デメリット:ニュートラルな感情を表現できない
多クラス分類
- ポジティブ/ネガティブ/ニュートラル
- または、より細かい分類(喜び、悲しみ、怒りなど)
- メリット:より詳細な分析が可能
- デメリット:分類が難しい、データが必要
細粒度感情分析
- アスペクトベース:特定の側面に対する感情を分析
- 例:「このレストランの料理は美味しいが、サービスは悪い」
- 料理:ポジティブ
- サービス:ネガティブ
手法:
- ルールベース:感情辞書を使用
- 機械学習:SVM、Naive Bayesなど
- 深層学習:LSTM、BERTなど
課題:
- 皮肉・比喩:文字通りの意味ではない
- 文脈依存:文脈によって感情が変わる
- 主観性:人によって感情が異なる
Q17. 機械翻訳の基本的な仕組みを説明してください。ルールベース、統計的、ニューラルの違いを説明してください。
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機械翻訳は、ある言語のテキストを別の言語に自動翻訳するタスクです。
主なアプローチ:
ルールベース機械翻訳(RBMT)
- 方法:言語の文法規則と辞書を使用
- 手順:
- 構文解析
- 言語間の対応規則を適用
- 目的言語で生成
- メリット:解釈可能、ドメイン特化が容易
- デメリット:規則の作成が大変、柔軟性が低い
統計的機械翻訳(SMT)
- 方法:大量の対訳コーパスから統計的に学習
- 手順:
- 対訳コーパスから翻訳確率を学習
- 文をフレーズに分割
- フレーズごとに翻訳
- 言語モデルで文を生成
- メリット:データから自動学習、柔軟性が高い
- デメリット:対訳コーパスが必要、長距離依存が弱い
ニューラル機械翻訳(NMT)
- 方法:エンコーダ-デコーダアーキテクチャ
- 手順:
- エンコーダ:原文をベクトルに変換
- デコーダ:ベクトルから訳文を生成
- アーキテクチャ:
- RNN/LSTM:シーケンス間モデル
- Transformer:Attention機構を使用
- メリット:高い性能、文脈を考慮
- デメリット:計算コストが高い、データが必要
比較:
| 項目 | ルールベース | 統計的 | ニューラル |
|---|---|---|---|
| 性能 | 低い | 中程度 | 高い |
| データ | 不要 | 必要 | 大量必要 |
| 解釈性 | 高い | 中程度 | 低い |
評価指標:
- BLEU:n-gramの一致率
- METEOR:意味的類似度も考慮
- 人工評価:人間による評価
Q18. テキスト要約とは何ですか?抽出型と生成型の違いを説明してください。
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テキスト要約は、長いテキストを短く要約するタスクです。
種類:
抽出型要約(Extractive Summarization)
- 方法:原文から重要な文を抽出して要約
- 手順:
- 各文の重要度をスコアリング
- 重要な文を選択
- 選択した文を順序通りに並べる
- 手法:
- TF-IDF、TextRank(グラフベース)
- 機械学習:重要度を学習
- メリット:元の情報を保持、実装が容易
- デメリット:文の順序が不自然、冗長性がある
生成型要約(Abstractive Summarization)
- 方法:原文の内容を理解し、新しい文を生成
- 手順:
- 原文を理解
- 重要な情報を抽出
- 新しい文を生成
- 手法:
- Seq2Seq、Transformer
- GPT、BERTベースのモデル
- メリット:自然な要約、冗長性を削減
- デメリット:実装が複雑、事実誤認のリスク
比較:
| 項目 | 抽出型 | 生成型 |
|---|---|---|
| 方法 | 文の抽出 | 文の生成 |
| 自然さ | 低い | 高い |
| 実装 | 容易 | 困難 |
| 事実性 | 高い | 中程度 |
評価指標:
- ROUGE:要約と参照要約のn-gramの一致率
- BLEU:生成型要約の評価
- 人工評価:人間による評価
用途:
- ニュース記事の要約
- 論文の要約
- 会議議事録の要約
- 長文の要約
Q19. 質問応答システムとは何ですか?情報検索型と生成型の違いを説明してください。
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質問応答システムは、自然言語の質問に対して適切な回答を返すシステムです。
主な応用:
- 検索エンジン:Google、Bingなど
- チャットボット:カスタマーサポート
- FAQシステム:よくある質問への回答
- 知識ベース:Wikipedia、企業のナレッジベース
種類:
情報検索型(Retrieval-based)
- 方法:事前に用意された回答から選択
- 手順:
- 質問を理解
- 知識ベースから関連文書を検索
- 関連文書から回答を抽出
- メリット:事実性が高い、制御可能
- デメリット:知識ベースにない質問には回答できない
生成型(Generative)
- 方法:質問に基づいて新しい回答を生成
- 手順:
- 質問を理解
- 関連情報を取得
- 新しい回答を生成
- 手法:
- Seq2Seq、Transformer
- GPT、BERTベースのモデル
- メリット:柔軟な回答、知識ベースが不要
- デメリット:事実誤認のリスク、制御が難しい
ハイブリッド型:
- 情報検索型と生成型を組み合わせ
- まず検索、必要に応じて生成
評価指標:
- EM(Exact Match):回答が完全に一致
- F1-Score:回答のトークンレベルの一致
- 人工評価:人間による評価
課題:
- 多義性:質問の意味が曖昧
- 文脈理解:文脈を理解する必要がある
- 事実性:事実に基づいた回答
Q20. チャットボットの基本的な仕組みを説明してください。ルールベースとAIベースの違いを説明してください。
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チャットボットは、自然言語でユーザーと対話するシステムです。
基本的な仕組み:
入力理解(NLU:Natural Language Understanding)
- ユーザーの発話を理解
- 意図(Intent)とエンティティを抽出
対話管理(Dialogue Management)
- 対話の状態を管理
- 次のアクションを決定
応答生成(NLG:Natural Language Generation)
- 適切な応答を生成
種類:
ルールベース
- 方法:事前に定義されたルールとパターンで応答
- 例:
- 「こんにちは」→「こんにちは、いかがお過ごしですか?」
- 「天気は?」→「今日の天気は晴れです」
- メリット:
- 制御可能、予測可能
- 実装が容易、データが不要
- デメリット:
- 柔軟性が低い
- ルールの保守が大変
- 未知の質問に対応できない
AIベース
- 方法:機械学習や深層学習で対話を学習
- 手法:
- 検索型:事前に用意された応答から選択
- 生成型:新しい応答を生成(GPT、BERTなど)
- メリット:
- 柔軟な対話が可能
- 未知の質問にも対応
- 自然な対話
- デメリット:
- データが必要
- 制御が難しい
- 不適切な応答のリスク
対話の流れ:
- ユーザー:「今日の天気は?」
- NLU:意図=天気確認、エンティティ=今日
- 対話管理:天気APIを呼び出す
- NLG:「今日の天気は晴れ、気温は20度です」
用途:
- カスタマーサポート:よくある質問への回答
- 予約システム:レストラン、ホテルの予約
- 情報検索:商品情報、FAQ
- エンターテインメント:雑談、ゲーム
課題:
- 文脈理解:前の対話を理解
- 多義性:曖昧な質問への対応
- エラーハンドリング:理解できない質問への対応
結論
一問一答形式で自然言語処理の基礎的な概念について学んでみました。トークン化、形態素解析、特徴量抽出、単語埋め込み、各種タスクの基礎など、自然言語処理を理解する上で重要な知識を理解できたのではないでしょうか。
自然言語処理は、テキストの前処理から高度なタスクまで、幅広い技術が含まれています。基礎的な概念を理解することで、より高度な技術や最新の研究を理解する土台ができます。
実際にテキストデータを扱い、前処理を行い、モデルを構築することで、より深い理解が得られるでしょう。継続的に学習を進めていきましょう。
